本の覚書

本と語学のはなし

振り返る六月

 六月に読んだ本。
(1) 詩の作り方/黒田三郎
(2) 良寛の逸話/谷川敏朗
(3) 堤中納言物語/塚原鉄雄校注

 余裕はないはずなのに、ヘブライ語を始めてしまった。新たな言語に本格的に取り組むのは、これが最後になるだろう。今月はほとんど文字になれるだけで終わってしまったが、ゆっくりで構わない。ていねいに学びたい。
 更に、新約聖書をギリシア語原典で読み始めてしまった。決して今から神学の扉を開こうとしているわけではない。再び教会に通いたいと思っているのでもない。勉強会を立ち上げるつもりも毛頭ない。ただひたすら不毛な趣味である。
 ただし、始めたばかりの新約だが、現代ギリシア語やコイネーを学ぶために、いったん中断。古典から現代にいたるギリシア語全体の見通しをつけてから、再開する。

 それぞれの言語の目標を整理しておく。
 ヘブライ語:秋には「創世記」に取りかかれるよう準備する。朗読は現代語音。順調に読解力がついたら、現代ヘブライ語や聖書アラム語も学ぶ。聖書の舞台を旅してみたいが、実現はしないだろう。
 ギリシア語ホメロス新約聖書。前者は古典語音、後者は現代語音を採用する。現代語文法の基礎も押さえておく。
 ラテン語:もっぱらウェルギリウス。教会や声楽で用いられるようなイタリア語風の発音は採用しない。現代ラテン語というべきイタリア語スペイン語ポルトガル語は、引用文などを読む必要があるとき、辞書と文法書をひっくり返しながらも、何とか意味が取れればよい。
 ドイツ語:鷗外翻訳の原典にあたる。当面はゲーテ。会話練習はCDを聞き流すだけ。
 フランス語:小説と詩を自由に読む力をつける。DVD、CD(会話、シャンソン、フレンチ・ポップス)、ラジオなどの音声教材も用いる。
 英語:小説と詩を自由に読む力をつける。他の言語を学ぶ際や、その他日本語で用が足せない場合のツールとして利用する。DVD、CD、ラジオなどの音声教材も用いる。
 中国語:現代語は基礎がしっかり身についていればそれでよい。会話練習はCDを聞き流すだけ。メインは古典。読解は基本的に読み下しの方法に頼るが、漢詩は可能な限り現代語音での朗読を試みる。
 日本語:古典文学、道元、良寛、森鷗外などを読む。『万葉集』を読むのに当時の音韻を復元してみる必要はない。日記を書く。できれば日記以外の文章もしくは詩を書く。会話は特に学ばない。日常の用が足せる程度の片言でよしとする。

 毎日できるだけ八つの言葉に触れるようにしている。きちんと時間管理をしなくては、これを維持していくのは難しい。いずれどこかで破綻するかもしれない。
 自分でもどこに向かおうとしているのか、よく分からなくなっているが、最終的に核となるべきは、古文、漢文、仏文、英文である。

 語学関連の本はもう大方注文し終えた(まだ届いていないものもたくさんあるが)。だいぶ散財が激しかったので、しばらく購入をストップしなくてはならない。

 なかなか本が読めないので、家では古文も読書も一つの枠にまとめてしまった。そうするとどうしても古文の方に偏っていくので、職場の読書に多様性を持たせることにした。漢詩の他に、小説、歴史小説、詩など、もう一冊携行して通勤する。職場でうまく読めるかどうか分からないが、それより外に仕方がなさそうだ。

 二度にわたり、大掛かりな本の処分をする。語学、辞書、哲学、仏教、参考書なども対象とした。もう学ばないと決めている言語の中では、サンスクリット語の文法書と辞書を残しておいた。